ねことけんじゃ。|鴨河SS

こんにちは、ウェントーです。大猫です。
ふさふさのシッポがじまんです。
むずかしいことは分かりませんが、お肉はすきです。

あっちで寝てるのがオーリスです。おとーさんで、おかーさんです。
ふわふわの髪の毛はじまんじゃないらしいです。
オーリスは起きるのがおそいので、ウェントーはヒマです。

外からは鳥のなきごえがしています。
おおきな耳はどこで鳴いているのかすぐに分かって良いです。
外にだしてくれたら、ウェントーはひとりでごはんを食べにいけるのに、オーリスはよく寝てます。
たたいてみましょうか。そうしましょう。

えい。

えいえい。

……。

…………。

わしわし撫でられてるうちにいっしょに寝てました。
おはようございます。ウェントーです。
いいかげんオーリスもおきました。
昨日はチユをしたからつかれて寝たんだそうです。
つかれてなくてもオーリスはよく寝ます。ウェントーはしってます。

外に出してもらえたので、ウェントーはごはんを探します。
でもこのあたりの鳥じゃ小さいのばかりで、あんまりおなかはいっぱいにならないです。
あの庭は、食べごたえのあるネズミやらシカやらいたのを思い出します。
すみっこにちっさい石がある庭です。
オーリスはウェントーと旅に出るときに、ウェントーを石のまえにおすわりさせました。
あいさつをしろといわれたので、とりあえず鳴いておきました。
すぐにどこかから声がかえってきたのでおどろいたけど、オーリスにはきこえてないみたいでした。

さっき鳴いてた鳥はもうどこかに行ってしまったみたいです。
ざんねんです。
いないというと、オーリスはウェントーの頭をわしわしなでて、ちっさな家に戻るようにいいました。

ちっさな家には、しらない匂いのヒトがいっぱいいます。
オーリスがしらないヒトに何かいうと、しらないヒトはおにくをくれます。
オーリスはお肉を食べるウェントーのとなりで、ちっさなパンをかじります。
ウェントーのお肉、すこしならわけたげても良いのだけど、オーリスはお肉あんまり食べません。
ちょっとさみしいけど、取り合いにならないから良いです。

ここに来たのは3日くらい前です。4日くらいかもしれません。
ここのとなりに大きな石でできた、おっきな家があります。
オーリスは決まった時間になるとおっきな家にいきます。
ちっさなパンを食べおわったオーリスが、しらないヒトとはなしています。
ウェントーはお肉を食べおわったのでけづくろいをします。
はなしおわったオーリスがウェントーを呼んだので、ウェントーはくっついていきます。
今日はおっきな家でなくて、ちがうトコに行くみたいです。

ちっさな家とおっきな家があるまちは、おっきな家をいくつもいくつも並べても足りないくらいにおっきいです。
ふわふわした草がいっぱいはえてます。
ウェントーがあるくと、ふわふわの草からむしが飛び出ます。
ウェントーは、かしこいからじゃれません。

ちっさな家とおっきな家からしばらく歩くと、ひろばがあります。
馬がいっぱいいます。ヒトもいっぱいいます。
オーリスはヒトの方にあるいていって、何かはなしてるみたいです。
オーリスとはなしてるヒトは、かたほうの手に剣をもってます。
そのうしろにいるヒトは、弓をしょってます。

ふわふわした草があるこのまちは、ときどき、たまに、血のにおいがします。
ウェントーがたべる鳥とかシカとか大ネズミのにおいとはちがいます。
オーリスのにおいともちがいます。
はじめてこのまちにきた時もそうでした。
ハナをならすウェントーをみて、オーリスはいいました。
これは、ヒトの血のにおいなんだそうです。
おぼえておこうとハナをならしたウェントーの頭はオーリスにおさえられました。

今日はここでおしごとをするらしいです。
何で分かるのかっていうと、オーリスがウェントーをひろばのはじっこでおすわりさせたからです。
夕方までかかるから寝てて良いっていうけど、ウェントーはオーリスとちがうのでそんなにたくさん寝ないです。
ちょっと横になるだけです。もふこらしょするだけです。
オーリスはウェントーの頭をなでると、すぐにひろばのまんなかの方にいきました。

ひろばには、血のにおいがあります。
シカでも大ネズミでもオーリスでもない、ヒトの血のにおいです。
ウェントーのハナはとても良いので、目をとじててもすぐに分かります。
たまに目をあけると、血のにおいのまんなかに、オーリスがいます。
しろい布をもって、寝てるヒトのそばを歩いてはとまって、かがんで、そしてまたすぐに歩きます。
オーリスのほかにも、しろい布をもって歩きまわってるヒトが何人もいます。せわしないことです。
血のにおいはずっとしてます。
たぶん、増えてます。
でも食べられないのでウェントーはあくびをして、もう一度目をとじました。

ときどき目をあけてオーリスをみて、また目をとじてを繰り返しているうちに
昼のにおいから、夕方のにおいに変わってきました。
そろそろウェントーはおなかがすきました。
オーリスがこっちに歩いてきて、おわったといいました。
ウェントーは立ち上がってのびをします。
オーリスの手からは血のにおいがします。
においをかごうとしたら、かくされました。

ちっさな家にかえろうと歩きだそうとするとオーリスがとまりました。
うでを誰かがつかんでいるみたいです。
みると、おんなのひとでした。
おんなのひとは、オーリスの腕をつかんだまま、大きな声をあげました。
おどろいたのでオーリスの腕をつかんでる手をたたこうとしたらオーリスにとめられました。
おんなのひとはずっとオーリスにむかって何かをさけんでいます。
オーリスはただしずかにそれを聞いて、さいごに小さく首をふりました。
そんなことをしてるうちに、剣をもったヒトがちかづいて、おんなのひとをつれていきました。

オーリスはためいきをつくと、ウェントーに帰ろうといいました。
ウェントーはオーリスにくっついて歩きます。
ちっさな家についたころには、夕方のにおいは夜のにおいになっていました。
ちっさな家のしらないヒトがお肉をくれます。
ウェントーがお肉を食べているあいだ、オーリスは部屋にもどってきがえてきました。
血のにおいはうすくなっています。
においをかいだら頭をなでられました。
オーリスの手はほそっこいです。
ウェントーの手はふさふさでりっぱです。じまんです。

ウェントーがお肉を食べててもオーリスは今日はパンを食べないみたいです。
ちょっとまよったけど、お肉をすこし残したげました。
オーリスはちょっとだけ笑って、またウェントーをなでました。

部屋にもどると、また明日もひろばにいくのだとオーリスがいいました。
あけられてた窓をとじると、オーリスはベッドにこしかけます。
ウェントーはのびをして、オーリスのひざにあごをのせます。
オーリスからは、ぬけきらない血のにおいがしました。
また明日も、このにおいの中にいくみたいです。
オーリスはハナが良くなくてよかったと、ウェントーはちょっとだけ思います。

ひざのうえにあるウェントーのあたまにかぶさるように、オーリスがからだをまげました。
そのまますこしだけぎゅうっとされると、オーリスはもう寝るみたいです。
今日もチユをしたからつかれたんだそうです。

明日とその次と次がおわったら、このまちはもう出ようって、寝言みたいに小さな声でオーリスがいいました。
ウェントーはへんじの代わりにのどをならします。
窓の外から鳥のなきごえがきこえました。
オーリスが血のにおいきらいなら、ウェントーはちょっとだけ、お肉食べるのガマンしようかと思うのです。

くさうまい亭にくる、少しだか、かなりだか、昔の話。 |ω・)<ささみうまい。