誰が為に|かもかてSS

前提
ローニカ友情A、エンドロールでのお話。死にネタですので、苦手な方はご注意を。
◎レハト:王/一人称私 性別はどちらでも。
鐘が鳴る。
晴れた空に吸い込まれるように。

ひそやかな葬儀は、段取りから進行まで全て、彼の言葉通りだ。
華美なものは一切排して欲しい。
そして、私の時間も極力とらないようにと。
こんな所まで彼らしくて、私は苦笑を浮かべた。

棺に静かに横たわる彼の顔は穏やかそのもので、
そう言えば私は彼の眠る姿なんて見たことが無かったと、今更ながら思う。

「陛下」

彼の後任にあたる侍従が、参列者の終わりを伝えた。
明日には、彼の棺は城を出る。

「少し、二人にして欲しい」

告げると、侍従は静かに部屋を後にした。

ずるいな。
何も二人で往くことも無かろうに。

まるでリリアノの後を追うように、ローニカはきっかり二ヶ月後、山への旅路に着いた。
それは、私の後を引き継ぐ為だけの時間だったのかも知れない。
いつものように茶を飲み別れた、その夜だった。
苦しげな風も無く、ただ、ただ眠ったままのように見えたと聞く。

「ローニカ」

呟く声に、答える声はもう無い。
かつてよりも幾分細くなった指は固く、触れれば冷たい。
ああ、こういう時に限って、昔の事ばかりを思い出す。

母を亡くし、同時に故郷すら無くし、
右も左も分からぬまま城へ放り込まれ、
田舎者と蔑む貴族達の嘲笑の中へ入らざるを得なかった。
そのままで良いと、望む道を行けば良いのだと、
笑ってくれた姿に私はどれだけ救われた事か。

お前は呆れるだろうけど、私が王を目指したのは、誰の為でも無い。
お前を、ただ傍に置きたかっただけなんだよ。我侭だね。
いずれ別れが来るとしても。
そしてその時は、私が願うよりも随分と早かったけれど。

重ね合わせたローニカの手に、水滴が幾つも落ちる。
私めなどに勿体無いと、声が聞こえそうだ。

私が幼い頃に贈った飾り帯も、一緒に持っていくと良い。
今日は夜通し、火を灯そう。
山の道程を迷わぬように。
そちらからも、見えるように。

王様にならないと、ローニカは侍従を辞めてしまう気がして友情EDでは必死に王様を目指していました。
どこまでもリリアノには敵わなかったんだなと、思い知らされたED。